酒米品種の千粒重・心白発現率に及ぼす気温の影響(3)

出穂後気温と心白発現率 .jpg

図3 出穂後20日間の平均気温と心白発現率との関係

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   図4 出羽燦々の品質(令1年産)

 3  出穂後20日間の気温と心白発現率

 アスク試験田に供試している7品種を出穂期の早晩で早生群(美山錦、羽州誉、龍の落とし子)と中生群(出羽燦々、出羽の里、山酒4号、酒未来)に分け、各群別に出穂後20日間の平均気温と心白発現率(各群の平均値)との関係を見たのが図3である。心白発現率は静岡製機の穀粒判別器による。

 両群の関係に二次曲線を当てはめると、当てはめの精度を表すあR2は早生群で0.65、中生群で0.51と比較的高い値であった(図2)。また、両群ともに気温が26℃以上から心白発現率が高まる傾向を示している。コシヒカリなどの一般米においても出穂後20日間の平均気温が26℃以上から背白粒、基白粒、腹白粒などの白未熟粒の発生が高まることが認められている。
 酒造好適米品種の特性が心白発現であるが、その発現は高温下では玄米中心部にきれいに入るのではなく腹側に大きく流れ、乳白状を呈し光沢がない。気温が高いアスク試験田産(出穂後平均気温28.3℃)と気温が低い金山産(同25.3℃)を比較すると、同一品種であっても品質の違いは明瞭である(図4)。こうした心白粒は精米効率や酒米適性を低下させる。
 以上から、酒造好適米品種においても、出穂後20日間の平均気温が26℃は品質上からの指標気温になるであろう。 

2020年3月17日 14:02