酒造好適米新品種「雪女神」の特性(アスク試験田から)

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雪女神(左)、出羽の里(中)、出羽燦々(右)の立毛と雪女神(左)、出羽燦々(右)の玄米標本

 大吟醸酒の醸造に適した山形生まれの酒造好適米品種「雪女神」、アスク試験田で試作し成育・収量・品質特性を調べてみました。その概要は表1~4の通りです。雪女神表1.jpg 雪女神表2.jpg
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 表1 :出羽燦々と比較し、出穂期は2日ほど早い中生、稈長は短く、穂長は長く穂数は多い。
  表2 :出羽燦々と比較し、一穂もみ数は少ないが、穂数が多いことから㎡あたりもみ数は多い。また、一次枝梗着生もみ数の割合が高い。
  表3 :出羽燦々と比較し、収量はふるい目幅2.0mm選別で明らかに高いが、2.1mmでは並みである。これは、玄米の粒長は雪女神が5.63mm、出羽燦々が2.31mmで雪女神が長めであるのに対し、粒厚は雪女神が2.19mm、出羽燦々が2.31mmで(山形県農業特別研究報告第7号 2015)雪女神が薄いためとみられる。
 表4 :品質は、出羽燦々と比較し、千粒重は2.0mm選別では並みであるが、2.1mmでは逆転し大粒化する。整粒歩合は明らかに高く、玄米タンパク含有量は7%と低い。心白率は低い。タンパク、心白率がともに低いことが雪女神の品質の特徴である。
雪女神表4.jpg 以上のデータが示すように、大粒、低タンパクというすぐれた酒造適正をもつ雪女神の生成酒は山田錦と比較しても遜色ない「きれいな酒質」と評価されています。雪女神が醸す初雪のような「きれいな酒質」は、高級酒として県内はもとより日本の愛飲家の垂涎の的になるのではないでしょうか。新酒が出回るのを楽しみにしています。




 

2017年2月10日 09:46