おいしさを測る

 

 お米の美味しさを評価する方法には、炊飯米を人間の五感によって評価する「食味官能検査」と、米の成分や米の物理的特性などを機器で測定して食味を推定するなどがあります。

官能検査による評価

炊飯米を試料として、10~24名の試験者(パネラー)が、総合・外観・香り・味・硬さ・粘りの項目について基準米との比較で評点をつけます。その結果を集計・統計処理することで、試料の食味、試料間の差異を評価します。

 ご飯の美味しさ、まずさは実際に食べて評価することから、官能検査法が食味評価のもっとも基準的な方法といえます。反面、600g程度の試料量と20名程度のパネラーを必要とし労力と時間がかかること、パネラーの嗜好や地域などで結果が変動しやすいいなど問題があります。

このため、官能検査では、精米や洗米などの前処理条件、加水量や浸漬時間、炊飯器やむらしの条件、パネラーの選定(年齢・性別)、試食環境、試食順序などに留意して、できるだけ再現性の高い、科学的な試験を行うことが大切です。

官能検査による評価の代表的なのが、日本穀物検定協会が毎年実施する「米の食味ランキング」です。専門パネラーが複数産地コシヒカリのブレンド米を基準米とし、これと試験対象産地品種の総合・外観などの項目に関して比較評価します。基準米より特に良好なものを「特A」、良好なものを「A」、おおむね同等のものを「A'」、やや劣るものを
「B」、劣るものを「b'」の5段階評価を行い、この結果を、食味ランキングとして発表しています(日本穀物検定協会ホームページ)

 20年産米については、127産地品種について食味試験を実施しています。その結果、最も評価の高いランク「特A」は、新潟県魚沼産「コシヒカリ」(20年連続)、山形産「はえぬき」(15年連続)など21銘柄となっています。
なお、参考品種として試験した山形産「つや姫」は「特A」で、食味ランキングのトップだった「山梨峡北コシヒカリ」に匹敵する食味でした(商経アドバイス)。

理化学的測定(食味計)による評価

理化学的測定とは、米の成分(タンパク含有量・アミロース含有量など)など、官能検査結果と相関の高い特性を機器で測定することによって食味を推定します。

それらの機器には、近赤外分析装置がセンサーとして組み込まれています。このセンサー部が玄米のタンパクなどの化学成分を測定します。測定した成分値を食味判定式にあてはめて、成分値と食味値がズバリ数字で表示されることから、食味計と呼ばれています。

近赤外線とは、波長800~2500nm(ナノメートル)の近赤外線領域の光です。この光を測定対象に照射し、その反射や透過の度合いから、玄米(精米)に含まれる水分、タンパク質、アミロース、脂肪といった特定成分の量を非破壊的に測定します。

 測定に要する時間はきわめて短く、熟練を要しません。測定が迅速で簡単なことなどから、米穀卸、精米業者、試験研究機関、農業改良普及機関等に普及が進んでいます。

最近、炊飯米の外観・硬さ・粘り・鮮度を測定して食味を評価する機器が開発されています(佐竹製作所食味鑑定団)。本器は、米の新鮮度と炊飯米の外観を光学的に、また炊飯米の硬さと粘りを物理的にそれぞれ測定し、食味値を算出するシステムです。炊飯米が試料ですから、より官能検査の評価に近くなったと考えられます。

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食味鑑定団(佐竹)による食味分析(アスク食味検査室)