出穂・開花・稔り

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【開花:稲の花】

 稲の花は、2枚の緑色の頴(えい)に包まれています。この頴が後に硬く黄色になってもみ殻となるもので、花器を保護しています。

開花
開花 

 頴の中には、その基部に鱗被(りんぴ)というふたつのふくらみがあります。稲の花には花びらはありませんが、この鱗被が花びらの退化したものと考えられています。開花のとき、この鱗被が急に膨れ、そのため、閉じていた2枚の頴が開きます。これが稲の開花です。

 鱗被の上には6本の雄しべがあります。開頴が始まると、同時に雄しべの花糸が急に伸びて1cmほどになり、雄しべの葯を頴の外に出します。葯の中には、たくさんの花粉があって、葯の壁が破れると花粉は外に飛び出します。
雄しべに囲まれて、一本の雌しべがあります。雌しべの先は二股に分かれて、その先の柱頭は毛状になっています。花粉がうまくつくように仕組まれているのです。

 稲は出穂すると、すぐその日に穂の上部の花から次々と開花を始めます。ところが、不思議なことに、稲の開花は必ず午前9時頃から始まり、12時を過ぎると、もう開花はやめてしまいます。一つの花の開花している時間は1~2時間、その後頴は閉じてしまいます。
稲は風媒花で、花粉を飛散させますが、開花寸前に花粉は自分の花の雌しべに着くので、いわゆる自家受粉します。

【受精】 雌しべの柱頭についた花粉は、花粉管を伸ばして柱頭の中に入りこみます。さらに花柱を下に伸びて、子房(しぼう)のなかにあるは胚珠(いしゅ)に到達します。
胚珠の中にははい胚嚢(はいのう)という袋があり、この袋の中に卵と極核という二つの雌性の配偶子があります。伸びてきた花粉菅の先端には雄性の二つの精核があり、胚嚢の中に入ったところで、二つの精核のうち一つは卵と、そしてもう一つは極核と結合して受精が行われます。二つの受精が行われることから、これを重複受精と呼んでいます。

 受精した卵は、細胞分裂を続け、胚、つまり次の世代の稲の子供として成長してゆきます。一方、極核の受精したものは、胚よりはるかに大きく成長し、この中には胚が芽を出して育っていくのに必要なでんぷんなどの栄養分を貯めます。これが米の胚乳です。
受粉
受粉(星川清親:イネの成長)

【米粒の成長】
子房の胚嚢の中で、胚と胚乳が発達を始めると、それを包んでいる子房の組織全体も発達を始めます。受精の翌日からは、子房は縦にに伸び、5~6日後にはもみ殻の先に達します。その後は、子房の幅が太ってきて、15~16日目には幅が出来上がります。それからあとは厚みがゆっくり増して25日ころまでには子房の発達、つまり玄米の外形の発達は完了します。


米粒の成長
米粒の成長(星川清親:米)

 米粒の外形ができてからも、米の内部はでんぷんで充実してゆきます。このころの玄米はまだ緑色です。30日ころには米の内部の充実も完了に近づき、水分が減り、玄米本来の白色透明となります。もみ殻も葉緑素を失って黄金色となり、45日目ころに完熟期を迎えます。

出穂後20日
出穂後20日
出穂後30日
出穂後30日

 米粒のでんぷんは、茎葉の炭水化物が穂に送りこまれたものです。この炭水化物の全量のうち、約30%は穂が出る以前に葉で光合成されて、茎に貯えられていたものです。残りの約70%は穂がでてから、実りの期間に葉で光合成して、穂へ送り込まれたものです。

 9月中旬、夜の気温が下がり始るころ、もみは一斉に黄金色となり、葉は下から枯れ上がってきます。刈り取り期を迎え、稲はその一生を終えるのです。

成熟期
「成熟期」(はえぬき)