あぜ道日誌

ホームあぜ道日誌 > インド

インドハリアナ州のあぜ道から(19)

DSC_1379.JPG K1.JPG
熱風被害を受けたK2圃場  下葉が赤枯れ症状のK1圃場(左の作物はとうもろこし)
DSC_1387.JPG DSC_1389.JPG
生産者から感想を聞く。 「はえぬき」の栽培法を講義する田中農産研究所所長

 1月には見渡す限り広大な麦畑であったところにK2圃場があった。田んぼを遮るものはなにもない。風上側は、ワラ色に枯れ上がり、穂は出すくみの状態、熱風害だ。風下側は辛うじて収穫を望めるだろう。そしてK1圃場、隣接のとうもろこしは生育旺盛なのとは対照的に、「はえぬき」の下葉は赤枯れし、ここは収穫皆無に近い。
田植の遅れや熱風に遭遇したとしても、これほどの生育不良、登熟不良になったのはなぜだろう。急遽、生産者の皆さんに集まってもらい、「はえぬき」を栽培した感想を聞いた。田中所長のメモによれば
① 1月は低温のため育苗は不可、2月からは可能。
② 本田管理は、田植え後の湛水、熱風時の灌水などバスマテイ稲と同じである。
③ 生育不良の要因には塩害もある。
塩害?、パンジャーブ州、ハリアナ州では半乾燥地帯のため塩害が問題となっているという資料を読んではいたが、生産者から初めて聞いたことはショックであった。

 

(2018年7月 6日 14:26)

インドハリアナ州のあぜ道から(18)

Kaithal.jpg  DSC_1339.JPG

DSC_1342.JPG DSC_1354.JPG

DSC_1370.JPG DSC_1374.JPG


「はえぬき」の試作圃場の生育状況は、現地からパソコンに逐次送られてくる写真で確認はしていましたが、いざ、現地に足を踏み入れると、写真で想像していた生育状況とのギャップの大きさにびっくりしました。その要因の一つが、苗生育が濃霧による低温のため遅れたこと、二つ目が、田植え時期が2月下旬へとずれ込み、出穂期が5月中旬になったこと、三つ目が、出穂後から登熟期にかけて最高気温40℃以上の高温が続き熱風害を受けたこと、などが考えられる。((注):当初予定していたのは、1月中旬田植え、4月中旬出穂、5月中旬刈り取り)。カイタルの現地圃場3か所の中ではK3が最も良いとのことで、まず向かったのがK3圃場、以下、その概要です。
 K3圃場は木立と小屋に囲まれている。木立が熱風を遮ったとのこと。それでも「はえぬき」の成熟期の姿、一目見て可哀そうである。熟色は黄金色というよりは薄茶色に近い。稲体は枯れあがり、わずかに緑の葉を残す株が入り混じる。バスマテイの漏生とみられる株も散見されるが稔ってはいない。
 田んぼに入って鎌を入れると株元からは土埃が舞い上がる。現地では刈り取った株は地面に並べてモミを乾燥する。束ねるという習慣はない。そこで、山形流のイネ刈りを披露するが、田んぼはカラカラに乾いているので、地面に置いただけでモミは乾くであろう。モミ水分は20%ほどか。モミ収量は400kg/10aと見込んだが。
 刈り取り中、稈の根元が腐れているのがあり、同行しているシャルマン博士に聞いたところ、”刈り取り期近くになると腐れる病気である”。”Fusarium”とメモしてくれた。薬剤を散布で防げるとのこと、でも気にかかる。
 刈り取ったイネの脱穀はどうするのか?と聞いたところ、ドラム缶を持ってきて、それに稲束を力いっぱい打ち付けた。確かに脱穀は可能であるが、「はえぬき」はインドのイネとは異なり脱粒しにくい。少量ならいざしらず大量ともなるとドラム缶による脱穀は実行不可能であろう。それに打ち付けることで玄米は砕ける。現地での収穫はイネ・ムギ用の汎用型コンバインで刈り取り、収穫したモミは直接精米工場に運ばれるので、農家は脱穀機などの小型の農機具は所有していないと思われる。「はえぬき」用の脱穀機が必要だ。新たな課題に頭を抱え、K2圃場へと向かう。

 

(2018年7月 2日 14:33)

インドハリアナ州のあぜ道から(17)

DSC_1332 - コピー.JPG DSC_1399.JPG
 
 6月14日~18日にかけて、インドハリアナ州カイタルとウッタラーカンド州のデヘラドウーンで育てられている「はえぬき」に会いに行ってきました。今年に入って渡印したのは1月に次いで2度目です。1月のハリアナ州の広大な麦畑は、水田へと切り替わっています。カイタルへ向かう車窓からは、40℃の気温と視界を遮る濃霧(?)のようなどんよりとした空の下で、大勢の女性が長い苗を手にし田植えする光景を目にしました。
 現地で生育する「はえぬき」、これまでは送られてくる写真でその状況を確認してきました。今回、成熟期の姿を目の当たりにし、現地での栽培法、水と土壌など、今後クリアしなければならない多くの課題にも直面しました。
 その概要について、本ブログで数回にわたって逐次紹介しましょう。

(2018年6月26日 11:30)

インドハリアナ州のあぜ道から(16)

カイタル6.11.jpg

 インドハリアナ州カイタルから100kmほど北のPatialaの3月第1半旬から6月第2半旬までの気温の推移をご覧ください。最高気温は、5月第3半旬に入ると40℃以上に突入、5月26日は45℃を記録しています。6月に入ると、この暑さは少しは治まりましたが、それでも連日35℃以上です。
 6月14日、暑い、暑いカイタルを訪れます。「はえぬき」の生育(K1,K3)を写真ではなく、目で、手で確認するためです。なお、今回はカイタルよりさらに北の山間部シワリク丘陵のデヘラドーン(Dehra Dun)の「はえぬき」(D1)の調査も行います。ここは棚田が広がり、日本の原風景を髣髴させる地とのこと。
 次回は、写真ではなく、目の当たりにした「はえぬき」の姿を再び紹介しましょう。

(2018年6月12日 10:48)

インドハリアナ州のあぜ道から(15)

IMG_3058.JPG IMG_3059.JPG
IMG_3071.JPG IMG_3091.JPG
     調査するサトパル氏(5月19日来社し試験田の田植えをしました)

 6月7日、カイタルから「はえぬき」の登熟状況が送られてきました。カイタルは6月に入ってから、気温が最高38℃(6/1~6/5平均)、最低25℃、平均32℃ほどの猛暑が続いています。5月下旬の最高気温43℃からみれば少しは低く推移しているようですが。
 前回(5月29日)紹介した写真と比較すると、穂は垂れ、葉は緑から黄へと褪色してきたことがわかります。試作圃場間でのバラツキは依然として大きいものの、刈り取りが近い圃場もあるようです。
 6月15~17日、カイタルとデヘラドーンの「はえぬき」と会い、登熟調査と刈り取りをする予定です。その状況は後日報告します。

(2018年6月 7日 10:44)

インドハリアナ州のあぜ道から(14)

IMG_3016.JPG IMG_3017.JPG
IMG_3028.JPG IMG_3010.JPG

 5月29日、カイタルから出穂後の登熟状況が送られてきました。カイタル近郊の気温は、5月下旬に入って最高気温が43℃(5月21~29日平均)、最低気温が25℃の猛暑が続いています。ただ気温が高くとも湿度が30%前後、カラットした天気なのでは?。
 その暑さの中で、「はえぬき」は頑張っています。穂は垂れ下がり、D-1圃場は黄色味を帯びてきました。しかし、試作圃場間でのバラツキが大きく、圃場によっては暑さのためか葉先が白く枯れあがっているのも見受けられます。
 「はえぬき」や「コシヒカリ」など多くの日本稲の品種は、出穂後40日間の登熟期間の平均気温が26℃以上の高温条件で登熟すると、玄米が白っぽくなる白未熟粒が多発すると言われています。カイタルではどんな品質になるでしょうか。気になります。
 

(2018年5月30日 11:00)

インドからの来客迎え、アスク恒例の田植え

平30田植え1 - コピー.JPG                 田植を終えて、
平30田植え6 - コピー.JPG 平30田植え4 - コピー.JPG
田植に当たって河合社長から激励の言葉  田植えのやり方のコーチを受け田んぼへ
平30田植え2 - コピー.JPG 平30田植え5 - コピー.JPG
ラインを踏まないでとの注意を受けながら  手作りの田植定規に関心

 5月19日、アスク恒例行事の社員による試験田の田植が行われました。夜来から強い雨が降り続いていましたが、日ごろの精進のたまもの、朝方には青空が広がる天気に恵まれました。
 田植には、本ブログ(インドハリアナ州のあぜ道からシリーズ)で紹介しています、インドハリアナ州カイタルからサトパル氏(チーフ テクニカルアドバイザー)、ニューデリーからシャルマン氏(病理学博士)、通訳のラージ氏の3名が飛び入り参加しました。この田植えを放映しようとNHKも駆けつけるなど、大変賑やかな田植え風景となりました。
 河合社長の激励の言葉を受け、スタートは片言の英語を交え、手真似で田植えのやり方を説明してから。試験田に植えたのは、酒造好適米品種「羽州誉」・「龍の落とし子」・「山酒4号(玉苗)」・「酒未来」・「改良信交」・「酒の華」などの原々種です。タネの生産ですから、他品種とはコンタミしないよう、インドの方にもわかってもらい一本ずつ丁寧に植えてもらいました。 試験田にはタネ以外に、山形県の酒造好適米品種「美山錦」・「出羽燦々」・「出羽の里」・「雪女神」などの生育、収量、品質を調査する「酒造好適米品種特性比較試験」も設置されています。
 社員とインドの方と一緒に植えた苗は5日ほどで根付き、7月下旬から8月上旬にかけて出穂、9月中旬には収穫を迎えます。その間4か月、品種の特性を維持するための観察と調査を行います。また、品種特性比較試験では6月10日から生育を、収穫後は収量、品質を調査し、それらのデータは酒米の作柄情報として本ブログから逐次流します。ご活用ください。
 田植は2時間足らずで終了、試験田に立つ「米の山形酒の国」の看板をバックに全員で決めポーズ。今年もまた出来秋を迎えられますよう。

(2018年5月21日 10:17)

インドハリアナ州のあぜ道から(13)

インド生育(5月15日).jpg 5月15日現在の生育状況の写真が送られてきました。出穂している株が前回の10日よりは増えていますが、試作圃場での生育ムラが依然として目立ちます。また、気温が高い影響で葉先が焼けている、K3圃場ではメイ虫が発生している(写真は消毒しているところか)、8日の豪雨で葉先にダメージなどのメモも送られてきました。
 出穂後に待ち受けているであろう高気温や病害虫の影響が気になります。

(2018年5月18日 14:01)

インドハリアナ州のあぜ道から(12)

カイタル5月10日.jpg ハリアナ州カイタルは5月に入って最高気温が35℃、最低気温が22℃前後の日が続いています。
 10日、最新の生育状況の写真が送られてきました。待っていた出穂を迎えました。前回のブログ(11)で、「はえぬき」の出穂は、田植え後の日平均気温の積算値から5月上旬でないかと予測しました。写真からは、一株から数本の穂が出ていることが確認できます。しかし、一斉に出そろうとまではいかないようです。圃場、株間で生育のバラツキが大きいためです。
 また、畦畔側の株は葉身全体や葉先が白く枯れあがっているのもあります。暑さ、熱風?の影響でしょうか。

(2018年5月10日 13:47)

インドハリアナ州のあぜ道から(11)

カイタル出穂予測.jpg

 IMG_2763.JPG IMG_2765.JPG
IMG_2758.JPG

  ハリアナ州 カイタルは暑くなってきました。4月中旬に入ってからは40℃近い最高気温が連日続いています。ところが最低気温は20℃前後、日中は猛暑でも夜はしのぎやすいようです(気温データはKaithlから100kmほど北のPatialaでの測定)
 4月23日に生育状況の写真が送られてきました。前回の3月30日の生育に比べ、一段と大きくなっていることがわかります。そろそろ出穂を迎えるのではと思っています。その根拠は日平均気温の積算値です。
 山形で「はえぬき」を5月15日に田植えすると、8月5日頃出穂します。この間の毎日の平均気温を積算するとほぼ1700℃です。この出穂特性がカイタルでも同様に発揮されるとすれば、田植した2月21日からの気温を積算すると、4月30日頃には1700℃に到達します。このことから5月上旬には穂が出そろうのでないか、と予測しています。ただ、写真からもわかりますように、試験田間、試験田内での圃場ムラが大きいため、一斉にきれいに出そろうとはならないでしょう。次回に送られてくる報告が予測どおりなのか、楽しみです。
                                  

(2018年4月24日 10:04)

インドハリアナ州のあぜ道から(10)

 

(4.02)インド生育題.jpg

 3月30日現在の生育状況の観察記録、写真、気温データがカイタルから送られてきました。
 それによると、カイタル(K1~K4)の3月下旬の最高気温が29℃、最低気温が15℃、カイタルより北のデヘラドゥ-ン(D1)の最高気温は25℃、最低気温は12℃、両地域とも3月6半旬から気温は高くなってきました。
 田植え後40日の生育状況は、写真中に数字で示しています。上段が草丈(cm)、下段が茎数(本/株)です。試験区でバラツキが大きく、K2、D1は良好ですが、K4は極端に遅れています。その原因はわかりませんがそれでも前回の報告より草丈で10cmほどは伸びています。ちなみに、山形の「はえぬき」の生育は、田植え後40日で草丈40cm、茎数25本/株が標準的です。
 4月に入ると、気温はさらに上昇し、最高気温は40℃近くにもなると言われています。今後の生育はどう推移するでしょうか。 

 

(2018年4月 3日 14:15)

インドハリアナ州のあぜ道から(9)

(3.22)インド生育.jpg ハリアナ州カイタルで2月22日田植えをし、1か月過ぎた3月22日現在の生育状況の写真と、この間の気温データが現地から送られてきました。
  それによると、最高気温は平均で26.3℃、ちょうど山形の6月というところでしょうか。最低気温は平均12.7℃と低く、一日の気温較差は13.6℃と大きいことがわかります。天気は30日間のうち、晴れ(sunny)が8日、一時曇り(partly cloudy)が6日、雨と曇り(cloudy with a rain)が2日、そしてHazy Shade of Winterが14日でした。
 生育状況は、写真のように試験圃場でそれぞれ異なりますが、草丈は平均すると20cm。メモには、K1~K3、K5圃場はSatisfactory growth of paddy plants、 K4圃場はRice plant tip becomeing dry & yellow とのことです。なお、カイタルより北のデヘラドゥ-ンの棚田での生育(D1)はK1~K5よりは良好に見えます。Good growth of paddy plantsとメモされています。
 このように、現地圃場の生育状況は、定期的に送られてくる情報でパソコン上からある程度は把握できますが、ハリアナ州で実際に育っている「はえぬき」を目の当たりにし、触ってみて、田んぼに入って確かめないと・・・・・との不安はあります。次回はどんな写真が送られてくるでしょうか。
  (もっとも回数の多かった天気、Hazy Shade of Winter とは?直訳すれば、冬のようにどんよりとした空、それとも冬の陽炎との訳もあるので、陽炎heat weaveが発生するほどの晴れて強い日差しということになるのでしょうか)

,

 

(2018年3月27日 10:38)

インドハリアナ州のあぜ道から(8)

IMG_2452.JPG IMG_2455.JPG
IMG_2447.JPG
 2月22日、パソコンに田植えの写真が送られてきました。霧と低温に痛めつけられましたが、逞しく育った苗は葉色淡く下葉の枯死が見られるものの3葉ほどに生長しました。田植えの適期です。今回の田植えは試作のため小面積です。生育進度、出穂期や刈り取り期を、そして何よりも品質・食味を確認するのが主目的です。
 カイタルはこれから気温が急上昇します。カイタルから北へ100kmほど離れたPatialaにおける2017年4月の日平均気温は29℃(月最高34℃)、日最高気温の平均37℃(同43℃)、日最低気温の平均21℃(同28℃)、また、5月はそれぞれ32℃(36℃)、39℃(44℃)、25℃(28℃)でした(下図)。
 本年も同様の気温で推移すると仮定すると、田植から出穂期まで、出穂期から刈り取りまでのの積算気温から推察すると出穂期は4月25~4月30日、刈り取りは5月末になるのでないか。雨季に入ってもカイタルは雨量が極端に少なく数mm程度。日中は日差しが強く、気温の日較差が大きい。この気象条件は、米づくりにとっては最高なのですが、山形生まれの良質品種は連日の40℃に耐えることができるか。とくに品質・食味は?。気になりますが、結果が楽しみです。
4.jpg5月.jpgPatialalにおける4、5月の日気温の推移(2017年)


 

(2018年2月22日 13:43)

インドハリアナ州のあぜ道から(7)

 首都ニューデリーから北西へ車で6時間ほどに位置するハリアナ州カイタルの町、この町を訪れた日本人はおそらくごくわずかでしょう。カイタルは人口10万人ほどの町ですが結構賑やかでした。学校に通う学生達のバイク、超満員のバス、騒音の中を行き交う荷馬車、人通りは途絶えることがありません。今のインドの活力を感じます。人懐っこい子供達に元気をもらいました。ナマステ。
P1050394.JPG P1050391.JPG
学生達で込み合うバス
P1050388.JPG P1050385.JPG
稲わらを満載したトラクター、荷馬車が行き交う
P1050375.JPG P1050377.JPG
農機具屋さんにて 
P1050397.JPG P1050402.JPG
市場にて、 タマネギ、ニンジン、ピーマン、サトイモ、ナス、果物はかんきつ類が多い
P1050470.JPG P1050465.JPG
小学校にて
 

(2018年2月19日 09:36)

インドハリアナ州のあぜ道から(6)

 

P1050382.JPG P1050384.JPG
サットパル氏、担当農家(4名)らと対応策について打ち合わせ

  対応策の基本は、次の2点であることを提案。
 第1点が苗代に水を溜め、漏水を防ぎ苗を保温すること。それには古ビニールシートを畦畔脇に30㎝ほど埋め込む。
 第2点が尿素の追肥を施用し生育を促進すること。
 現地の農家は冬季に米づくりをした経験はないという。小麦の収穫後のバスマティ栽培は雨季のもっとも暑い時期に入ります。代掻きした水苗代にタネを播けば、短期間で芽がでるでしょう。”水で苗を保温する”、という考えが思い浮かばないのも蓋し当然かもしれません。
 帰国後に送られてきたメールの写真からは、これらの提案は実行されたことがわかります。苗の緑は濃くなり、生育は回復してきたようです。あとは何時田植えするかの連絡を待つばかりです。
IMG_2392.JPG IMG_2339.JPG
畦畔にはビニールシートを埋め漏水防止、水がたまっている (1月29日)
IMG_2370.JPG IMG_2384.JPG

苗の生育は回復しつつあり、あとは田植えをまつばかり 

 でも気になる点があります。それは地下300mからくみ上げる水には塩分が含まれていないのか、もし含まれているとすれば、その水が灌漑される田んぼの土にも。そこで持ち帰った田んぼの土のPHとCEC(陽イオン交換容量)、地下水のPHを測定しました。その結果によれば、土のPH8.3、CEC8.1、水のPHは8.3で、土、水ともPHはいずれも高くアルカリ性です。サットパル氏は水、土ともにPHは7.0だから問題はないと言っていましたが。ちなみに山形県の田んぼの土のPHは5.5~6.0、CECは20以上です。CECは土の地力、保肥力の高さの指標になりますが、この数字からは地力は低いと言えるでしょう。
 地下水灌漑は、チューブウエル灌漑(掘り抜き井戸を掘って動力ポンプで地下水をくみ上げる方式)と呼ばれています。本灌漑方式で生産力が向上した背後で、地下水の低下や塩害が発生、とくに深刻化しているのは過剰揚水による地下水の低下とも言われています(調査と研究 京都大学 第18号より)。日本米の栽培に当たっての留意すべき点でしょう。また、おいしい日本米を作る上では稲わらなどの有機物の還元で地力を高めることも必要でしょう(現地では稲わらが田んぼに還元されることはない)。半乾燥地ハリアナでの日本米づくりは緒についたばかり、クリアする多くのハードルが待ち構えています。

IMG_2418.JPG IMG_2419.JPG

IMG_2428.JPG   IMG_2431.JPG
2月15日に送られてきた苗の生育  
 

(2018年2月14日 13:26)

インドハリアナ州のあぜ道から(5)

 苗の生育は思わしくない、事前の情報に不安を抱きながらKaithalno現地に入ったのは1月17です。
 朝、デリーの郊外ブルガオンのホテルを出発、デリー名物の大渋滞地帯を過ぎ、高速道を北西に向かって走ること6時間、青々と広がる麦畑、菜種の花が濃霧にかすんで見えます。途中のドライブインで休憩、外はヤッケを羽織るほどの寒さ。熱いミルクティ「チャイ」が冷えた体にしみ込む。霧が晴れた午後2時頃Kaithalni到着。休む間もなく苗代へ。
P1050373.JPG P1050357.JPG
    苗代①            苗代②
P1050365.JPG P1050372.JPG
    苗代③            苗代④

  苗代①:麦畑の一角に作られた苗代、水は入っていない。出芽はしたが、不完全葉、第1葉は白く変色し枯死している。根も伸びていない。寒さのためという。
 苗代②:苗代は宅地のわきに作られ、周囲は麦畑。側には地下水をくみ上げるポンプはあるが苗代に水は入っていない。防寒のためビニールを被覆しているが苗の成育は不ぞろい。農家は”霧のせいだ。木の葉も茶色になった”という。水を入れてもらう。驚いたことに、勢いよく出る地下水は生暖かい。水温20℃ぐらいか。地下300mから汲み上げているからであろう。外気温は低くとも、地下水の保温力を活用すれば苗は育つ、かつて山形は雪解けの水で苗づくりをした。
 苗代③:ここも水は入っていない。苗の生育は不ぞろいではあるが②よりは緑々し、生育は良い。根も伸びている。苗代が鶏小屋と木立に囲まれているため霧はかからないとのこと。養魚場のため池から流れる水を入れる。溜め池にはコブラが潜んでいるときもあるとか。
 苗代④:苗代は大型のキュウリハウスの一角に作られている。ここにも水は入っていない。苗の生育は不ぞろいであるが、根は白く長く伸びている。ハウスの中なので霧の影響はない。






 4か所の苗代とも、畦畔は土を盛り上げただけの簡易な作り、漏水を防ぐクロ塗はなされていない。ザル田では水はたまらない。それでも、②~④は今後の周到な管理対応で回復は可能と判断した。翌日、サットパル氏、担当農家と対応策について話し合う。

IMG_1756.JPG IMG_1745.JPG IMG_1787.JPG
苗代は土を盛り上げただけ。 保温のためビニールシート被覆(苗代③)
 

 

 

(2018年2月14日 09:40)

インドハリアナ州のあぜ道から(4)

IMG_1372.JPG IMG_1378.JPG
芽だしをした種子を水苗代播く(12月3日)

苗代気温.jpg
苗代期間(12月1日~1月31日)の気温の推移

 インドハリアナ州で日本米づくりに挑戦するプロジェクトチームをアスクインディアと呼んでいます。チームの先発組が、現地の指導者サットパル氏(写真右から2人目)のアドバイスを受け播種したのが12月3日、続いて、12月5日にはKaithal ujjanaの生産者が60㎡の水苗代に7kg(115g/㎡)のタネもみを播きます。水苗代は畦畔を作り、代掻きしただけで、写真からもわかりますように畦畔からの漏水対策などがない簡易なものです。12月16日にはKaithal jhakholiのキュウリ農家がハウス内に4㎡ほどの水苗代に280gのタネをまく。12月25日にはKaithal siwanの生産者が126㎡の水苗代に10kg(80g/㎡)のタネをまきます。播種日を何回かに分けたり、ハウスに苗代を作ったりしたのは、生産者自身が冬季に米づくりをした経験がなく、サットパル氏と生産者が播種の適期を確認するためでもあったようです。
 さて、Kaithalから現地情報の第1報がパソコンに入ってきました。サットパル氏の所感は、This rice variety is a summer crop  variety & it can grow property in summer seasion (April to September). This rice variety needs tempratur is min ,15 degree celcius.(本品種は夏季シーズンの栽培が適している。本品種が生育するには最低気温15℃が必要)というショッキングなもの。
 確かに、上図に示した12月~1月の気温推移から最高気温は20℃前後ではあるものの最低気温は7~8℃と低く、しかもFog(霧)の日が多いことがわかります。ハリアナの冬季の天気は山形で想定していたより厳しかったのです。

 

 

this rice

 

その内容は、nパソkポンハリアナ

(2018年2月 9日 10:15)

インドハリアナ州のあぜ道から(3)

カイタル月別気温.jpg カイタルと山形の気温.jpg
KAITHALにおける月別気温と降水量   KAITHALと山形の気温比較
無題.jpg           濃霧(Deep Fog)の日の気温推移
  1.31カイタル.jpg          1月31日の気温推移
 

 ネットで調べたハリアナ州の気象を見てみよう。KAITHALの月別気温、降水量を山形と比較すると、KAITHALの1月平均気温は13.7℃、山形の4月が10.1℃、そして2月は16.6℃、山形の5月が15.7℃、KAITHALの1~2月の気温は山形の4~5月の気温をやや上回っていることがわかります。山形の4月下旬はかつては水苗代、保温折衷苗代で育苗し、5月下旬には田植をしました。KAITHALは3月に入ると気温は急上昇、4~6月の最高気温は40℃にも達します。このことから、12月下旬に播種し水苗代の水温を温めることで苗の生育を図り、1月中旬に3葉苗を田植え、4月下旬に刈り取りするならば、山形方式の米作りは可能と考えました。
 KAITHALへ脚を踏み入れてこの考えが甘いことに気付く。濃霧(Deep Fog)の頻繁な発生です。1月に入ってから31日まで実に14日間、ほぼ50%の頻度で発生しています。現地で聞くところによれば、12月下旬から1月にかけては頻繁に発生するとのこと。 濃霧の日はもちろん気温は上がりません。このため、ネット上で知り得た気温情報と実際の気温には大きな乖離があったのです。一般に平均気温は(日最高+最低)/2に近い値です。ところが濃霧の日は午後2時ころに霧が晴れると気温は徐々に上昇しますが、日暮れとともに降下します。したがって、最高気温24度、最低気温6℃の日の日平均気温は15℃ではなく、{(24℃×3時間)+(6℃×21時間)}/24=8℃}の気温に近いのでないかと推察されます(上図の赤線)。現地の人が防寒具を着て寒さをしのいでいるのもわかります。雪国の寒さに馴れているはずの私たちにとっても寒かった。この霧が、播種後の苗生育に大きく影響したのです。
 

(2018年1月31日 15:29)

インドハリアナ州のあぜ道から(2)

P1050356.JPG濃霧の中の小麦畑は車を5時間走らせても尽きることはない、その広大さに圧倒される(1月17日 右端の四角い建物はポンプ小屋)
ヒンドスタン平野.jpg
 西ベンガルで培ったインドでの日本米づくり、気象条件が大きく異なるハリアナ州でもそのノウハウを生かせるのか。新たな挑戦です。 
 ここで、ハリアナ州の農業の一端を紹介しておきましょう。ハリアナ州は北はヒマラヤ地帯、南はデカン高原との間でインダス、ガンジス、プラマプトラ川の流域の大平原、世界最大の沖積平野の北西部に位置しています。年間降雨量が500mm位の乾燥地帯で、元来小麦を主食とする地帯でもあります。そこがインドでもっとも多収の稲作地帯になったのは、1960年代の緑の革命によると言われています。当時、インドは食糧不足に見舞われていました。そこで、政府はハリアナなどの植民地時代に灌漑設備が整備されていた州に資金を集中投入、米、麦の多収品種に大量の化学肥料を施用することで増産を実現したという。
 このことから、ハリアナ州での本格的な米づくりは歴史が浅いのでは、と勝手に推察しています。雨量の少ない乾燥地帯であることから、灌漑がなければ土壌中の塩類が表面に蓄積する塩害地帯でもあるとも言う。土壌が高PH条件であることから、不溶性となる亜鉛を補給して(硫酸亜鉛で25kg/ha)灌漑することで立派な水田になるとも言う。
 ハリアナ州の米づくりの作業は、4月中~5月上旬にかけての小麦の刈り取りを終えた後に始まります。イネの播種は5月中旬、田植えは6月中旬、そして刈り取りは9月中~10月中旬が基本です。KAITHAl での冬期間の米づくりは、生産者にとっておそらく初めての経験でしょう。            


 

(2018年1月30日 11:27)

インドハリアナ州のあぜ道から(1)

inndo.jpg インド米単収図.jpg

  あぜ道日誌を2週間ほど休み、新年早々インドまで足を延ばしてきました。 あぜ道日誌では1915年、20回にわたって、西ベンガルでの日本米づくりの奮 闘記を連載しました。今回は、西ベンガルとは反対方向、デリーの北西部ハリ アナ州カイタルでの日本米づくりです。事業は緒についたばかり、生産が可能か どうかまったく未知数です。
 カイタルという地名、ほとんどなじみのない地名 でしょう。冬期間の今は見渡す限りの小麦畑が続いています。この地で山形県の主力 品種「はえぬき」は逞しく生育できるのか。試練はこれからです。
 さて、人口13億人のインドは経済発展にともない日本食の食文化が広がるこ とが期待されます。わずか数%に広がっても、3~4千万人の市場規模になる でしょう。ご存知のように、インドは長粒種「インデカ米」が中心、ハリアナ州は中で も「バスマテイ」という高級米の一大産地です。単収はインドでもトップクラスで3.4トン(もみ)です。 インド国内では現地の日本料理店が必要とする、日本人が食べたい「ジャポニカ米」はほとんど流 通していません。厳しい輸入規制があるために日本からの米の輸出は難しいの です。
  デリー行きの機内で隣り合わせた方は「出張でたびたびデリーに滞在しますが、会社の寮ではおいしい日本米を食べたい」、と語ってくれました。インド各地で汗を流し働いているビジネスマン、その家族、発展著しいインドに滞在する日本人は今後飛躍的に増えると見込まれています。
 将来を見通し、インドで山形の「はえぬき」の生産を成功させたい、西ベンガルでの取り組みを参考にしながら、気候風土をまったく異にす るカイタルでの米づくり、その状況を数回にわたって紹介します。
 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

(2018年1月24日 11:38)
あぜ道日誌
月間アーカイブ