酒造好適米の玄米形状(6)

玄米長*幅と千粒重(山田錦).jpg
分散分析表(山田錦).jpg 酒造好適米の玄米形状(6)では前回の出羽燦々と同様の手法で解析した兵庫県産「山田錦」の結果について述べる。
 ①玄米の長さLと幅Wの積(L*W)の大きさは、平29.>平30>令1>令2の順であるが、その差は出羽燦々に比べ小さい。令1、令2の(L*W)が小さいことは「出羽燦々」と同様である。
 ②(L*W)と玄米千粒重との関係について回帰分析を行った。回帰式を当てはめると、当てはめの良さを示すR2は、0.45~0.79の範囲で、出羽燦々よりは低い。回帰分析の分散分析では4つの回帰係数の間には有意差はなく、回帰定数には有意差があることから、出羽燦々と同様に下表のように年次別に4本の回帰式が得られた。
 ③回帰式から、単位(L*W)当たり千粒重の増加量は0.9g/0.5mm2で、出羽燦々の1g/mm2と近似した値である。
 以上から、出羽燦々と山田錦での(L*W)と千粒重との関係は、品種特性や栽培地を全く異にするのにほぼ同様の結果を示した。玄米形状を調査し解析することで得られた知見は、酒米品質、とくに大吟醸酒用原料米の条件である大粒に仕上げるため有用であり、さらにデータを積み重ねたい。 

2021年1月14日 14:08