アスク試験田の生育概況(収量調査の結果)

令2収量・収量構成要素.jpg 令和2年産アスク試験田の酒造好適米品種の収量・収量構成要素の調査結果について紹介しましょう。
 結果の概要を上図に示す。グラフで黒棒が本年値、白棒が平年値(平18~令1の平均値、雪女神は平28~令1年)である。
 ㎡当たり穂数:美山錦のみ平年並みで、それ以外の品種はいずれも平年を上回った。
 一穂もみ数 :いずれの品種も平年を上回り、とくに、早生の美山錦、羽州誉、龍の落とし子で多かった。
 ㎡当たりもみ数・全もみ数(穂数×一穂もみ数):全もみ数はいずれの品種とも平年を大きく上回った。平均で対平年値は124%であった。
 精玄米粒数歩合(全もみ数に対するふるい目幅2.0mm以上の全玄米粒数の割合):出羽燦々のみが平年を上回っているが、他は平年を下回った。
 玄米千粒重:平年並み~やや下回る。
 玄米収量:アール当たり収量は、試験区から30株刈り取り、乾燥、脱穀、もみすりした粗玄米をふるい目幅2.0mmで選別た玄米重をアール当たりに換算した値である。右下の図から、本年値は平年値を大きく上回り、アスク試験田は大豊作であった。出羽燦々は80kg/a、出羽の里75kg/aを記録した。面積当たり収量は、収量を構成する全もみ数×精玄米粒数歩合×玄米千粒重で求まる。このことから、試験田の豊作はいずれの品種とも全もみ数が多かったことに起因したとみてよいであろう。通常、全もみ数と精玄米粒数歩合、千粒重は負の相関関係にあり、この2要素は低下するが、本年ではその低下割合が小さかっことも収量を向上させたとも考えられる。
 山形県村山地方の本年の10アール当たりの収量は635kg(ふるい目幅1.70mm)、作況指数104と高く、その要因が全もみ数が多いこと、登熟が順調に進んだことによると解析されています(東北農政局)。アスク試験田の結果も、この解析結果と同傾向にあった。
 一方、収量は高かった反面、もみ数が多かったことで腹白型心白粒が多い、玄米タンパク含有量がいずれの品種でも0.5%ほど高い、粒はやや小さいなど、酒米としての品質にはマイナス要因となっている(本ブログ10月8日号)。
 以上が、アスク試験田における概要ですが、本年は稲作栽培の全期間にわたって記録的な気象経過であったことから、気象とこれらの結果との関連についてさらに検討したい。

2020年11月20日 13:50