玄米粒形と酒米適性との関係(1)

 県内外の酒米産地や蔵元からアスク品質調査室に送られてきた30年産玄米サンプルの数は700点ほど、それらの品質調査とデータのとりまとめが一段落し、一息ついているところです。そこで、まとめたデータの中から、酒米の玄米粒形(粒長・粒幅・粒厚)と酒米適性(玄米千粒重・心白率・玄米タンパク質含有率)との関係を数回に分けて紹介しましょう。
 玄米の粒形、心白率の測定は平成29年に導入したサタケ穀粒判別器、玄米タンパク質含有率はBLテック社の近赤外分析計、 玄米千粒重は20g当たり粒数で求めました。調査対象の酒造好適米品種は①富山県産五百万石(30年産183点、29年産174点)、兵庫県産山田錦(同134点、65点)、山形県産出羽燦々(同70点、77点)です。

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調査品種の玄米   玄米の初期の発達(後藤ら:作物学の基礎 農文協より引用)
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 玄米の形成は、基本的には開花して受精すると、子房はまず縦方向に伸び始め、約1週間で内頴の先端部まで達する。このときに玄米の長さが決まる。子房が伸びるのと同時に、幅も増していくが、縦方向の伸びよりも遅く、もみ殻いっぱいの幅になるのは開花2週間後ころである。玄米の幅が決まるころ、胚乳にデンプンが蓄積しはじめ、玄米の厚さが決まるのは開花3週間後ころである(後藤雄佐ら:作物学の基礎:農文協より)。
 玄米の形成は出穂後から収穫までの登熟期間に長さ ⇒ 幅 ⇒ 厚さの順に決定される。酒米適性(千粒重、心白率、タンパク質含有率)も主としてこの期間に決定さる。したがって、玄米の形成と酒米適性の間には相関関係が存在すると考えられる。以下、それらの関係について述べよう。
 

2019年3月12日 12:19