玄米粒形と酒米適性(心白率)との関係(2)

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玄米幅と心白率.jpg 粒形と心白率との関係では3品種とも粒幅との相関が高かった。心白率は整粒中当たり心白粒の割合である。  粒幅と心白率の相関係数は出羽燦々がもっとも高く、r=0.770(30年)、0.642(29年)で、次いで山田錦がr=0.599(30年)、0.491(29年)、そして五百万石でr=0.520(30年)、0.355(29年)であった。長戸らは(心白米に関する研究第1報:日作紀27(1):1958)酒米品種雄町、八反錦を供試し次の知見を得た。
①心白粒は無心白粒に較べ、粒厚には差を認めなかったが、長さ及び幅、とくに幅において明らかに大きかった。
②登熟初期(一次生長)の好環境は養分を潤沢に供給し、心白発現を促す。
③一次生長が盛んな場合に心白粒を形成しやすい理由は、このような粒では、長さ、幅の方向への発育が盛んで、中心部から透明になる時期(開花後10日頃)にもまだ粒の外側部への養分集積が行われ、中心部への集積が円滑を欠くためその部分が不透明として残り、やや遅れてその外側から順調に集積が行われて透明化し心白状を呈すると考えられる。開花後25日頃にはほとんど心白歩合は決定される。
  高野ら(高野ら:酒米の栽培に関する研究:福井農試報告5:1968)も心白粒は無心白粒より粒幅>粒厚>粒長の関係があり、とくに粒幅、粒厚の発育が良好であるとしている。
 心白発現が引用文献での精密実験の結果と生産現場のサンプルから得られた結果が一致する傾向を示したことは興味深い。すなわち、心白の発現程度は品種固有の特性ではあるが、同一品種なら、粒幅が大きい粒に発現しやすいと言ってよいであろう。
 心白を有する米は浸漬時の吸水が速く、亀裂を生じやすく、麹をつくるときははぜ込みをよくするので麹米として好まれる。反面、心白が大きすぎると、精米時に砕米になりやすくかえって欠点とされる。吟醸酒の原料米は高度に精米することから、心白は点状型、線状型で横断面が小さいものが好まれる。山形県の酒造好適米新品種で大吟醸原料米「雪女神」は心白発現率が少なく、心白の大きさも小さい特性を有する。
 明治43年に鹿又 親(醸協18:1910)は「心白が3~6割含まれている山田穂、雄町は酒造米としての必要条件を満たしている」と、初めて心白の意義に触れている(若井芳則:酒米研究・酒米育種・精米技術の100年の進歩:醸協99-10:2004)。池上らは心白の大きさと気象条件や生育との関係解析はこれまで行われていないため、今後の研究が必要としている(池上ら:兵庫県における酒米品種「山田錦」の玄米品質と気温との関係:日作紀84:2015)。心白発現は酒造りと米作りの「古くて新しい課題」でもある。
 

(2019年3月12日 14:50)
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