アスク試験田での"山田錦"、"雄町"の出穂

 19日は二十四節気の一つ雨水、山形市郊外の田んぼの雪はほとんど消え、今年の米づくり近しを感じさせます。
 さて、米づくりと言えば気になるのが天候、昨年のような猛暑になるのでしょうか。暑い夏、アスク試験田を訪れる蔵元や酒米生産者から聞かれるのが、西日本の酒造好適米品種の横綱”山田錦”、”雄町”の栽培が可能になるのでは?です。もちろん”no”です。その答をアスク試験田での13年間にわたる調査結果から紹介しましょう。
出穂まで日数.jpg ① 出穂期は山形産出羽燦々より30日遅い
 試験田は毎年5月15日を中心に田植します。出穂期は山田錦が8月28日(平成18~30年平均)、雄町は9月4日、出羽燦々は8月1日ですから両品種とも30日ほど遅い出穂となります。これは、品種の出穂特性によるものです。山田錦など西日本のイネは、感光性と言って、日長が短くなることによって穂が分化し出穂する特性を持っています。これに対し、山形の品種は感温性と言って、高温が続くことで穂が分化し出穂します。このため、夏の日長が西日本より長い山形で山田錦や雄町を作ると出穂が遅くなるのです。
 ②田植え~出穂まで日数の変動が大きい
 田植えから出穂までの所要日数は山田錦が最短99日、最長116日、雄町が最短105日、最長121日、最短と最長の差は16~17日に及んでいます。出羽燦々の9日に比べ、変動がきわめて大きいことがわかります。これでは、いつ頃穂が出るのか予測できず適切な栽培管理もできません。
 以上の結果から、両品種とも山形で栽培したとしても出穂が遅れ、登熟が秋冷の時期に入るため十分な実りは期待出来ません。酒造好適米”山田錦、雄町”は西日本の田んぼでは横綱相撲であっても、山形では幕下相撲?なのでないでしょうか(写真左:8月30日 右9月30日の山田錦、雄町 アスク試験田)。
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2019年2月19日 10:53