気温と玄米千粒重との関係(1)

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 酒造好適米の粒の大きさを表す玄米千粒重は最も重要な形質の一つです。千粒重が重い(大きい)酒米は、搗精歩留りが高く、白米の吸水特性にすぐれています。大吟醸酒の原料米は50%以下に搗精することから特に千粒重は重視されます。
 千粒重はモミガラの大きさと肥大する玄米の重さで決まります。モミガラの大きさは、出穂前11~20日の頴果分化期~減数分裂期(穂孕期)の環境条件に、そして玄米の重さは出穂後の登熟期間の環境条件に強く影響されます。
 そこで、長年にわたって酒米調査を実施しているJA金山酒米研究会のデータをもとに千粒重に影響する環境のうち、気象要素を取り上げてその関係を検討しました。データは千粒重が平成18~30年の研究会の平均値、気象は出穂前20日~出穂後40日まで10日間ごとの気温(平均、最高、最低)と日照時間(金山のアメダスによる)です。
 その結果、上図に示したように千粒重は出穂前11~20日間の最低気温及び出穂後20日間の最高気温との関係がもっとも強いことがわかりました。両者の関係に1つの折曲点を持つ折れ線モデルを当てはめてみました。上図からは、
①出穂前11~20日間の最低気温が18.3℃以下では、気温が高いほど千粒重は重く、それ以上の気温では一定。モデルの当てはまりの良さを表すR2は0.58である。
②出穂後20日間の最高気温は27.8℃以上では気温が高まるほど千粒重は軽くなる。R2は0.32で高くはない。
 なお、平年の出穂期が8月5日とすれば、出穂前11~20日の最低気温は18.7℃、出穂後20日間の最高気温は28.8℃で、両時期の折曲点は平年値に近い値を示しています。以上のことから、金山「出羽燦々」の玄米千粒重の重さは、穂孕期間の最低気温18.3℃と出穂後20日間の最高気温27.8℃を目安として予測できるのでないか。

 

2019年1月29日 14:01