インドハリアナ州のあぜ道から(31)

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生育量は小さいが熟色良く、粒が大きい  田んぼにお祈りをしてから刈り取り
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刈り取ったイネは束ねずそのまま地干し 脱穀機で初めての脱穀作業 女性は良く働く

 ニューデリーから車では10時間ほど北、ウッタラカンド州の州都デヘラドーン、ここからさらに車で1時間ほど走ると棚田が一面に広がっています。棚田の水で育った「はえぬき」が刈り取り適期を迎えていました。周囲の田んぼでは丈が長く細身のもみのバスマテイ種が青々と育っています。その中で、丈が短く大きなもみが黄色く熟れている稲姿の「はえぬき」は一段と目立ちます。カルナルの「はえぬき」よりは熟色はきれいです。
 棚田のため平地よりは気温は低め、とはいっても高温で早く出穂し生育量は小さくなります。この対策として、3葉の小さな苗を、30×15cmの栽植密度で植えることにしたのです。ところが田んぼに入ると乱雑植えになっています。なぜ?。”田植え用定規で30㎝幅の線は引いたのですが、田植をする女性達が線を無視してこれまでのように乱雑植えをしました”とのこと。収量をいかに多くするかという私達の指示が現地には伝わらなかったのでしょう。残念。
 生育は、稈長65cm、穂数はバラツキは大きいが15本/株、一穂もみ数77粒ほど、山形の「はえぬき」と比較して生育量が小さいことは一目瞭然です。でも、稔り具合は良好で、粒は丸々としています。もみ収量は3トン/haほどと推定しました。
 刈り取り初日ということで、田んぼでお祈りを捧げます。赤く染めた米を額にくっつけてもらい刈り取り開始です。刈り取ったイネ株は束ねずそのまま地干です。翌日脱穀を予定していたのにその日の朝方は皮肉にも雷鳴とともに雨。午後は強い日差し。濡れたイネが乾燥するよう束を裏返ししながら陽に当てます。
 この日のために調達した電動式脱穀機、脱穀機での脱穀は初めての生産者が試運転します。脱穀機の馬力が弱いことや生乾きのためワラ屑が多く、モータが焼付かないのか心配しながらの作業です。最初は物珍しいのか男性が作業していましたが、間もなく女性たちに変わっていました。インドの農村女性は実によく働きます。

 

2018年10月18日 12:01