春耕始まる

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残雪の月山を眺望し羽州誉を作付する田んぼを起こす平吹正直さん(4月25日) 

 24、25日は春うらら、山形市郊外の田んぼでは残雪の月山を眺望しながら春耕が始まりました。この指とまれの平吹正直さんも酒造好適米「羽州誉」を作付する約2ヘクタールを耕起、広々と広がる田んぼに大型トラクターのエンジン音が響いています。
 今年の春先の田んぼは雪解けが早かったわりには乾きが悪く、水がたまっている田んぼが多くみられます。ところで、春先の田んぼの土は雨が苦手、乾燥が大好きなのです。少し専門的になりますがその理由を説明しましょう。稲は、成育期間中に窒素を10~12kg/10アール程度吸収します。このうち、肥料からは40%ほど、残り60%は土から供給されます。土の窒素は”地力窒素”と呼ばれています。地力窒素は、春先に田んぼが乾くほど増加します。”乾土効果”です。土が乾燥することで、易分解性窒素化合物(微生物の死滅や有機物の変性)が増加し、湛水後、微生物の働きで有機態窒素が無機態窒素へ変化し、根から吸収されます。”乾土効果”は土の乾燥度合いが強いほど高まり、発現した窒素は、田植え後から7月中旬頃まで吸収され、稲の生長に役立ちます。こんため、春の土の乾燥具合がその年の作柄や品質を左右するといっても過言ではありません。昔から、”イネは地力で、ムギは肥料で作れ”という先人の教えは、田んぼの土の特徴を言い表したものでしょう。
 間もなく大型連休、春耕が真っ盛りになるこの期間、五月晴れの空が続くことを願っています。

2017年4月25日 12:03