酒米の里金山"出羽燦々"の品質(4)

胴割れ粒発生.jpg 一穂登熟.jpg

 酒米づくりでもっとも注意を払わなければならないのが胴割れ粒の発生です。吟醸酒は60%以下、大吟醸酒は50%以下に精米するので、胴割れ粒は砕米になりやすく無効精米歩合が高くなります。
 ところで、金山酒米研究会の27年産、26年産は胴割れ粒歩合がやや高めでした。JA新庄・もがみ酒米研究会も同傾向でした。その要因の一つに登熟期の気温が関係するのでないか。中山間地の金山は、登熟の追い込みである9月に入ると、平場より気温は急に下がりやすい。濃霧の日も多い。そこで、9月上旬の平均気温と胴割れ粒歩合(研究会の総平均)との関係から、上図に示したように、平均気温が低く推移した年は胴割れ粒歩合が高い傾向が見られたのです(上図黒丸、黑点線)。同様の関係は新庄・もがみでもみられました(青丸、青点線)。
 なぜだろう。考えられるのが気温が低いことによるモミの登熟ムラです。出羽燦々は穂に着生するモミ数が多く、一穂の中でも下位に着生するモミや二次枝梗に着生するモミの登熟は遅くなります。これに対し、上位や一次枝梗に着生するモミの登熟は早まります。こうした登熟ムラは気温の低下でより助長されるのでないか。登熟ムラは刈り取りの適期判定を難しくします。青みがとれないモミが多いためどうしても刈遅れになりやすい。乾燥機に張り込んだモミ水分にもバラツキが多い。次の刈り取りに追われ、ついつい乾燥を急ぐ。などなどの要因が胴割れ粒歩合を高めるのでないだろうか。
 本事例は、9月上旬の気温が低く経過したとき、適期刈り取りと乾燥にはとくに留意するを示唆しています。参考にしてください。

2017年3月15日 15:28