酒米の里金山"出羽燦々の品質(1)"

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濃霧に覆われる酒米の里金山の町並み(12月26日 JA金山長倉潤さんより)

 年の瀬の酒米の里金山、例年なら町並みは白一色なのですが、今朝は濃い霧に覆われています。雪のない正月を迎えるのでしょうか。
 さて、JA金山酒米研究会の28年産出羽燦々の品質調査の結果がまとまりましたので、その概要を紹介しましょう。生産者の総平均値は
  玄米千粒重 :25.7g (目標値26g以上) 整粒歩合:76.3%(同70%以上)
  胴割れ粒歩合:4.6% (同3%以下)    心白粒歩合:14.0%(同20%)
  玄米タンパク含有率:7.5%(同7.5%以下)

となっています。
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 中でも、上のグラフに示したように、整粒歩合は過去11年間で最高の値となりました。3金山品質.jpg
これは、胴割れ粒歩合が低かったことも一要因です。また、タンパク含有率は並みでした。反面、玄米千粒重は過去2番目に小さい値となりました。千粒重は、なぜ小さい値になったのでしょうか。
 稲作のバイブルとも言われている「稲作の理論と実際」(松島省三著)によれば、「千粒重は出穂前18~13日頃の穂孕期間に最も影響を受けやすい。すなわち、千粒重の大小は出穂前に形成されるもみ殻の大きさで一次的に決定され、出穂後にはこの決まったもみ殻にどの程度に胚乳が充満するかによって二次的に大きさが決定される」と。
 そこで、金山の品質調査データから、出穂前20日間の平均気温と千粒重との関係を、28年産に当てはめてみましたがうまく説明はできません。そこで、穂孕期間に相当する出穂前10~20日間(7月第4~5半旬頃)の日最低気温と千粒重との関係をみてみました(左図)。図から、穂孕期間の最低気温が低い年の千粒重は小さいことがよりはっきりとします。すなわち、平成28年産の千粒重が小さかったのは、穂孕期間の最低気温が低く経過(7月第5半旬の最低気温15℃)し、もみ殻を小さく形成したためでないか、と推察されます。本図は、今後千粒重の予知に活用できるかも知れません。ただし、精度を高めるにはさらなるデータの積み重ねが必要でしょう。

 

 

 

2016年12月26日 10:22