"愛山"の種子生産2年目を迎えて(1)

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 紐に沿って愛山の系統1~5の苗を一本ずつ植える   篠突く雨が止んだあとの田んぼ

 
 幻の酒米とも呼ばれている酒造好適米”愛山”が醸す芳醇な味わいは、今、日本酒界で静かなブームになっています。6月12日、その愛山を、アスク社員が兵庫県小野市の酒米生産一筋の松本栄一さんの田んぼで田植えをしました。昨年に引き続いての2年目です。
 なぜ、山形から兵庫までわざわざ出向いて愛山の田植え?、その詳しい経緯については本ブログ(25年6月15日)で紹介しています。一言で云えば、愛山をより確かなものに育て上げることにあります。そのためには、厳正な種子生産が基本、これはアスクの酒米づくりのモット-です。
 昨年は、愛山の苗600本を一本植えし、一個体一個体の形態特性に違いがないかを観察、その中から20個体を、さらに愛山の特性である玄米の眼状心白が鮮明に入っている5個体を選抜しました。本年は、選抜した5個体の種子を系統として扱い、5系統別に田植えをしました。苗は順調に育てば、9月初めには出穂、10月中旬には収穫期を迎えるでしょう。その間、丈の長さ(稈長)、穂やモミなどの形態、出穂期などの生態的特性を、収穫後は粒の大きさ、心白の形状など、愛山が具備している特性を調査します。そして、これらの特性が5系統間で同一と確認されればこれを原原種とし、この種子を元タネに増殖を図ることとします。愛山の酒米としてのすぐれた特性を維持するには、こうした息の長い地道な取り組みは欠かせません。
 蛇足ながら、田植が終わりに近づいたころ、それまで穏やかだった空は一転して掻き曇り、雷鳴とともに篠突く雨、逃げる間もなくずぶ濡れ。”雨垂れ石を穿つ”、”櫛風沐雨(しっぷうもくう)”という雨の教えは、アスクの種子生産への取り組みに相通ずるものがある、と濡れた体に言い聞かせながら、田植えを終えることが出来ました。 

2014年6月14日 12:42