酒米づくりへの新たな挑戦(11)

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JA金山酒米研究会松沢信矢会長が酒造好適米「出羽燦々」のより高品質をめざし、挑戦する「疎植栽培」の品質をサンプル調査から慣行栽培と比較しました。その結果が、上の表です。
ふるい目別重量歩合:2.0mmと2.1mmのふるい目別の重量歩合は、疎植は慣行よりやや高め。
千粒重:疎植は慣行より1gほど小さい。
整粒歩合:疎植は慣行より高い。
心白粒歩合:疎植は慣行よりやや低め。
玄米タンパク含有率:疎植は慣行よりやや低め。
以上から、疎植栽培は慣行栽培より、千粒重は小さくなるが、整粒歩合は高く、また、タンパク含有率は低めになるという結果が得られました。
疎植で整粒歩合は高まるが、千粒重が小さくなることは昨年も同様にみられています。疎植栽培の稲は、一穂に着くモミのうち、枝分かれした部分に着くモミの割合が高く、一般に粒は小さくなりやすいと言われています。このことが、千粒重は疎植が慣行より小さくなる要因の考えられています。大粒・高品質の一石二鳥をねらっての疎植栽培ですが、なかなかその壁は厚いようです。なお、米検査では、整粒歩合が高かったことから全量特等でした。
今一つの壁は、酒米の里”金山”は寒冷地ということです。田植え後に低温が襲来した時に、活着不良などによって、疎植栽培はより被害を受けやすいと考えられるからです。温暖化が続き、冷害は忘れられようとしています。冷害への対応、これも疎植を定着する上で、避けては通れません。松沢さんの挑戦は続きます。

 

 

2012年11月 2日 11:23