山酒4号(玉苗)研究会、今年の米づくりを語る

千粒重.jpg 本格的な冬の到来を告げる雪が舞う12月19日、酒造好適米山酒4号(玉苗)研究会(会長: 奥山善男)のメンバー、山崎商事、山米商事、そしてアスクの関係者が山形市に集い、山酒4号の本年産米の作柄などを語り合いました。
 まず、品質で特筆されたのが粒の大きさです。玄米千粒重が平均で28.9gと、これまで7年間の調査のなかで最大です。本年の県産米は、9月上旬の高温による影響もあって、粒は細身で、千粒重は小さい傾向にあります。なのに、研究会の山酒4号はなぜ大粒になったのでしょうか。その要因の一つが、刈り取り寸前までの適切な水管理にあったと考えられます。高温下にあって、田んぼの水を切らさない、これが稲の体力消耗を防ぎ、多照という好条件のもとで、稔りを高めたのではないでしょうか。

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  いま一つが玄米タンパク質含量です。メンバー一人ひとりの性格のように明確な違いが認められたことです。上の図はメンバー別に玄米タンパク質含量の年次推移を表したものです。図にみられるように、A さん(黒線)は毎年低い「低位安定型」、Bさん(赤線)は高い「高位安定型」、そしてCさん(緑線)はジグザクの激しい「変動型」で推移していることがわかります。
 玄米タンパク質含量は酒質に大きく影響する成分です。このため、酒米づくりのカギは、タンパクをできるだけ低く抑え、かつ、生産者間のバラツキを小さくすることにあります。理想的には、Aさんの米です。
 しかし、施肥や水管理法などの栽培法を同じにしたとしても、メンバー個々の田んぼの土壌特性が異なります。また、気象経過も毎年同一ではありません。これらの自然条件と生産者の技術が複雑に絡み合って、グラフのような特徴が表れるのです。
 メンバーは互いに技術の研鑽に努め、タンパク質含量のバラツキは縮小化の傾向はみられるものの、田んぼのクセは自然が作り育てた持って生まれたもの、そこから作り出されるコメは工業製品のようにはいきません。
 これまでに積み上げてきたデータから、メンバーの田んぼのクセがわかったことは大きな収穫です。田んぼのクセを逆に活用した栽培方法を講じて品質を向上を狙う、その大切さを確認し、来年の酒米づくりに向けての決意を新たにした検討会でした。
 検討会後、山酒4号の純米大吟醸(秀鳳)の芳醇な香りに酔い、大いに盛り上がったのは言うまでもありません

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 作柄を語る(中央が奥山会長)      山酒4号(玉苗)の純米大吟醸酒を酌み交わしながら   


 

                                                       

2011年12月21日 13:14