23年の気象経過と作柄の特徴

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  山形県の23年産米の作況指数は99(10月15日現在)と発表されていますが、生産の現場からは、品質は昨年よりは数段良いけれども収量はもっと低いのでは?という声が聞かれます。
 それは、米選機の網目の違いによる作柄ギャップ、つまり米の粒の厚さ(粒厚)別の差が例年になく大きいからと思われます。
 山形県全体では、粒厚1.85~2.0mmの割合が23.2%(対平年6.8%増)なのに対し、2.0mm以上の割合が73%(対平年7.8%減)となっています。とくに、庄内地域では、この差が大きく表れ、2.0mm以上の割合は66.5%(対平年13.6%減)と、粒の厚い米の割合が大きく低下しています(以上、東北農政局より)。
 この現象は、アスク試験圃場の酒造好適米品種にもはっきりと表れています(次ページ
)。23年の粒厚2.0mm以上の割合が4品種平均で90.1%(対平年1.6%減)なのに対し、2.1mm以上の割合が73.6%(対平年10.2%減)と、平年よりは明らかに厚さの薄い粒の割合が高いことがわかります。
 粒の大きさは、”もみがらの大きさ”と”もみがらに詰め込まれる炭水化物の量”によって左右され、また、粒の大きさは長さ、幅、そして厚さの順に決まります。このため、粒厚は最終レースの気温や田んぼの乾湿などの要因にとくに影響されやすいのです。
 さて、23年の気象経過をみると、粒厚に及ぼすと考えられる気象要因はいずれも不利であったと考えられます。それらの関係を偏見と独断でまとめたのが要因図です。
 でも、粒が小さくなったのは気象の影響だけだろうか?。かっては、ダシ風などで葉色が褪せたときには(本ブログ7月27日)、N肥料の追肥によって稲体の回復を図り、出穂後の稔りを高めるという方法がとられました。しかし今では、7月下旬ころのN肥料の追肥は、米のタンパクを高め、食味の低下につながるということで、施用を控えるようになりました。酒米の栽培でも同様です。そのことが、出穂後の栄養不足を招き、9月の高温でイネは息切れしたのでないか?
 現在、アスクでは各地から集まってくる酒造好適米の品質を調査・分析中です。さらに解析を加え、その結果を大粒でかつタンパクの低い酒米栽培の技術向上に役立てたいと思っています。
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2011年11月 9日 13:12